シルクスクリーン芸人・小林ぼっちの刷ったもんだ

無名のピン芸人、小林ぼっちが知識ゼロの状態から「シルクスクリーン」を駆使してオリジナルグッズの作成・販売。一人前のシルクスクリーン芸人を目指して奮闘する1年の軌跡を綴ります。

シルスクはチームプレイ!

シルクスクリーンのポテンシャル

世間はすっかり師走。

老若男女、富裕貧困、人気不人気おかまいなし。誰もが忙しいこの季節。

僕も周囲の喧騒に感化され、なんだか忙しい気がしないでもなく過ごしている今日この頃。

 

そろそろシルクスクリーンでまた何か作らねば・・・と思案していた矢先、世田谷233の中根さんから興味をささられるお誘いが舞い込んだ。

 

シルクスクリーンの4色刷りである!

 

今まで僕が制作してきたグッズは、工程も仕上がりもシンプルな1色刷り。しかし実は、シルクスクリーンはもっと色鮮やかで繊細な画像も再現することができるのだ!

色の数だけ思いがこもる!?

中根さんもラインプロデューサーとして関わっている映画『多日想果』(タピオカ)。

台湾を舞台にした短編映画であるこの作品は、製作・上映のためにクラウドファンディングで資金を募ったという。

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映画『多日想果』のイメージ


この日は、そのクラウドファンディングの返礼品であるオリジナルTシャツを刷るというので、お手伝いという名目で現場にちゃっかり潜入させていただいた。

キャストの俳優さんが自ら一枚一枚シルクスクリーンでプリントしていくということで、もちろん感謝の念もこもり方が違う。支援者のファンの人々にもより喜んでもらえるはずである。そういう意味で、シルクスクリーンはお礼やお祝いの品に最適だ!

 

しかも今回はフルカラー。

4色のインクを上から上から重ねて刷ることで多彩な色を表現できるらしい……。理屈だけ聞くと複雑そうだが、とにかく一枚につき4回、いつもの4倍刷ることになる。もはや想いが多すぎてお腹いっぱい、まさに映画のタイトルのごとしである。

試されるチームワーク

以前、僕が単独ライブの物販用にTシャツを50着刷った時は、独りで2~3時間を要した。しかも、そのまま仏門に入りそうなほどの集中力をもってしてである。

今回も全部で55着刷ると聞き、ざっと見積もっても4倍の時間がかかってしまうということなのだろうか・・・しまった。ちょっと軽い気持ちで参加しすぎたかもしれない。

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この無地Tシャツを1着ずつ心を込めて刷っていく


どことなくお腹が痛くなってきたような気がしないでもないし次第によっては大事を取って帰宅する場合も無きにしも非ずだな~などと思いながら、いつものRISOさんのワークスペースへお邪魔すると・・・

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4色刷りマシーン「タコちゃん」(勝手に命名


なにやら仰々しいマシーンがセッティングされているではないか!

正直、前々から訪れるたびにその存在は気になっていたのだが、今日ついにその実態が明らかになる時がきた。

というか見るからにそれ以外の使い道は思いつかない造形だが、このマシーンはまぎれもなく「台に刷りたい衣類をセットして使うインクの色ごとに設置された上部の版を回転させながら効率よく刷るためのマシーン」だ!

マシーンの名前を聞き忘れてしまったので、今回は勝手に「タコちゃん」と呼ぶことにしよう。無論、腕が8本ついているからだ。

 

さて、このタコちゃんはすごい。

1人が刷っている間にもう1人が乾かし、もう1人が服を外し、もう1人が次の服をセットすることができるという優れものだ。なんとも効率がいい。

しかし、タコちゃんをフル稼働させるためにはどうしたってチームワークが必要になってくる。

 

32にもなって恥ずかしい話だが、僕は「ぼっち」の名に偽りなしの人見知りである。本当なら明日にでも引きこもりデビューしたい衝動を、持ち前の理性でなんとか乗り切っているギリギリの大人だ。

そんな僕が初対面の、しかも俳優さんと力を合わせてモノを作るというのだから、上手くやれるかなんて不安しかない・・・

 

 

結論から言ってしまうと、とても楽しく、あっという間に作業は終わった。

なんてことはない、皆さんいい人だったのだ。

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左から藤原さん、大門さん、小林ぼっち、山本さん、露口くん、中根さん


まず、映画『多日想果』の主演であり監督、プロデューサーまで務める大門嵩さん。今回は刷り手に徹し、全てのTシャツを彼が刷り上げた。マルチに活躍するすごい人なのだが、明るいムードメーカー気質で接しやすい爽やか好青年だ。

 

映画のヒロインである藤原希さんは見ての通り美麗な女優さん。今回は大門さんが刷ったTシャツにヒーターを当てて仮乾燥をさせる役だ。独特なほんわかした空気感を持った癒し系で、僕みたいな下の下の貧民にも分け隔てなく接してくれる優しいお方だ。

 

大門さんの後輩で手伝いに来ていた露口君はまだ芸能界に入りたての二十歳の美青年。今回はTシャツをセットするという実は重要な役回りを担ってくれた。大学に通いながら俳優業を頑張る、とにかく礼儀正しくて顔が小さい甘いマスク男子である。

 

こうして書いてると結局だんだん落ち込んできてしまったが、とにもかくにも、ここに中根さんも加わっていただき、5人で和気あいあいと連携し次々とTシャツを刷り上げていった。

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下段の台も上段の版も左右に回転する


僕は以前自分でTシャツを刷った時、シルクスクリーンは己と向き合う精神修行だと勘違いしてしまっていたが、決してそんなことはない。楽しい仲間と交流を深めながら一つのゴールを目指す、まるであの頃できなかった"文化祭の準備"のような感覚を追体験することも可能なのだ。

 

さて次回は、フルカラープリントのTシャツがシルクスクリーンでどのように刷り上がっていくのかを詳しく紹介していこう!

SSGメモ17:シルクスクリーンは友達もできる(かも)!