シルクスクリーン芸人・小林ぼっちの刷ったもんだ

無名のピン芸人、小林ぼっちが知識ゼロの状態から「シルクスクリーン」を駆使してオリジナルグッズの作成・販売。一人前のシルクスクリーン芸人を目指して奮闘する1年の軌跡を綴ります。

フルカラーで作ろう♪

 

刷るのはハイクオリティな写実イラスト

前回の記事で書いたとおり、映画『多日想果』の制作資金を募ったクラウドファンディングの返礼品として、フルカラーのオリジナルTシャツを刷るということで、美男美女の俳優さんたちに混じりつつその工程を見学させていただてきた。

今回はシルクスクリーンでいかにカラーの画像をプリントするのかを紹介していこう。

 

この日刷った画像はイラストレーターの 雪下まゆさんという方が描き下ろした映画のイラスト。

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雪下まゆさん描き下ろしイラスト


一見すると写真と見間違ってしまうほど繊細であり、幻想的な美しさが描かれた素敵イラストである。しかし、こんな緻密な色彩をシルクスクリーンで表現できるのか・・・?

刷るたびに感激も4倍

 まずはこの画像をパソコンに読み取って専用のソフトで解析し、4色の層に分ける。・・・といわれても早速よくわからないが、とにかくその4色を重ねると元画像の色彩が再現できるように、うまいこと黄色、赤、青、黒の画像に分けられる。

そしてそれらを GOCCOPROで版に出力。それぞれインクの濃淡も計算されている

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今回使った4色のインク

ただここから先はアナログでわかりやすい。

その4パターンの版を色を変えて順番に、位置がずれないように重ねて刷るだけである。

 

そこで活躍するのが、前回紹介した「タコちゃん」だ。

とにかくこの作業ではプリントの位置がずれてしまうことが一番の脅威であるため、台にTシャツをしっかりと固定し、かつすべての版が同じ位置に重なるようにしなければいけない。

しかしそれも、最初のセッティングをきちんとしておけば、あとはタコちゃんの力強い鋼鉄アームがガッチリとブレずに機能してくれるのだ。

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刷るごとに絵が浮かび上がってくる

こうして4回刷っていくと、1回目の黄色のみだとまだ全貌がよくわからないが、2回目の赤を重ねると絵が浮かび上がり、3回目の青でその色彩も鮮やかに現れ、最後の黒は仕上げ的な感じでくっきりと色が締まるイメージだ。

版を上げるたび、段階的に絵が浮かび上がってくる様子は何度見ていても新鮮に楽しく感動ものだった。

 

あとは刷ってタコちゃんを回転させて、を繰り返してひたすら一枚一枚仕上げていく作業だ。大変そうではあるが、3〜5人で役割分担をし、システマチックにこなせば意外と早く終わる。実際この日も55着+私物のパーカー数着を刷っていて3時間もかからなかった。

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できあがったTシャツ。失敗もほぼなく無事に終了

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あえて赤まででやめてもセピア風でイイ感じ

あこがれのフルカラー

というわけで、RISOさんのサポートがあれば意外と誰でも挑戦できそうなフルカラーのシルクスクリーン

もちろん版を4枚使うため、その分出費は多くなってしまうが、仕上がりの豪華さはやはり1色刷りとはだいぶ違う。シルクスクリーン芸人としては、いつか制作してみなければいけない目標だ。

SSGメモ18:原画が素晴らしいと4色も刷り甲斐がある