シルクスクリーン芸人・小林ぼっちの刷ったもんだ

無名のピン芸人、小林ぼっちが知識ゼロの状態から「シルクスクリーン」を駆使してオリジナルグッズの作成・販売。一人前のシルクスクリーン芸人を目指して奮闘する1年の軌跡を綴ります。

Tシャツの売り上げは・・・

お買い上げ誠にありがとうございました!

ネタにグッズに準備が大忙しだった数ヶ月間を乗り越え、10月22日23日に開催された単独ライブでは公演内容もさることながら、物販も御盛況いただく形で幕を閉じることができた。

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スタッフさんと手伝ってくれた芸人のおおくす君

大仕事を終えた充足感と、欲にまみれた生々しい期待感に包まれながら、その晩は帰宅してすぐに眠りに落ちてしまった。

 

翌朝。

単独の興奮が冷めやらぬ中、僕は起床するとすぐにお客様からいただいた今回の単独ライブへの優しさにあふれた熱いアンケートを読むのは一旦後回しにしてグッズの販売チェックシートに目を通した。最新のiPhone11もこの時ばかりは単なる電卓でしかない。

2日公演とも終演後の物販では、お客様が列をなしてお買い上げくださったのだ。その成果を、数字で!早く数字で示してくれ!

 

今回の単独ライブ、結論から申し上げますと・・・

 

 

 

黒字でした!!!!

やりました!!儲けた!

売れないお笑い芸人事情に詳しくない人にとっては驚くべきことかもしれないが、お笑いライブは基本的に儲かることなんて少ない。赤字か、良くても交通費におまけが付いて返ってくるレベルが日常の世界なのだ。

もちろん、有名どころや人気者によるライブはまた話が変わってくるが、基本的には僕らのような地下ライブ芸人はやればやるほど、出れば出るほどお金が消えていく。それが東京のお笑いライブ事情である。

じゃあなんでライブなんてやってるの?・・・というと、それはまた長くなるのでここではよそう。「マジで不思議」な話なのだ。(←単独のネタより引用)

 

しかしながら!そんな厳しい現状の中で!単独ライブで黒字を出すことができたのである!これは我ながら大したものだ。そして何より、足を運んでいただきお財布を軽くしていただいたお客様のおかげさまさまでございます。

正直なところ、チケット代の利益だけでは会場費ですでに赤字であった。つまりは僕の集客力の乏しさを、それでも来てくださった精鋭のお客様たちがグッズを購入してくれたことで大きくカバーしてくれたというわけだ。

だからもう本当に大袈裟でなく、お客様のおかげさまさまなのである!

もうこの2日間に来てくださったお客様には足を向けて寝られない。頭が上がらない。僕は頭髪に問題を抱えている系男子なので、できれば脳天をさらすような体勢はとりたくないのだが、今回のお客様に関してはそうもいかない。

で、実際いくらの黒字なのよ?

さて、このブログはシルクスクリーン芸人としての活動報告の場である。

そこで今回のシルクスクリーングッズに関する収支をしっかりと明記していこう。「シルクスクリーンでグッズ作るのって実際どうなの?」と気になっている方にはぜひ参考にしていただきたい。

 

今回用意したのはTシャツが2種類。

シルクスクリーン芸人のロゴをあしらった「SSGTシャツ」15着と、モグラのイラストが描かれた「暗中模索Tシャツ」50着。どちらも1着2000円で販売した。

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単独で販売したTシャツ2種

制作にかかった費用は下記の通り。

 

<SSG>

・初回ワークショップ&製版代:RISOさんのご厚意で今回特別サービス

Tシャツ代9,000円(600円×15枚)

・インク代:450円(4.5円/g)

OPP袋:45円(3円/枚)

合計(1):9,495

 

<暗中模索>

・スペース利用代:1,500円(500円/時)

・製版代+クリーニング代:2,500

Tシャツ代30,000円(600円×50枚)

・インク代:1,000円(5円/g)

OPP袋:150円(3円/枚)

合計(2)35,150

 

(1)+(2)+消費税=49,109

※インク代の差は種類が違うため

 

ご、5万!5万かかってた!

誘われるがままにシルクスクリーン芸人に就任して、楽しい楽しい言いながらのほほんとTシャツをバンバン刷っていたら、しっかりとお金がかかっていた!

・・・まあそりゃそうだ。人と物と時間が動いているのだから。社会人経験無しとはいえ、さすがに32歳ともなればそれくらいは知っている。なんにせよ後払いにしていただけて助かった・・・。

 

ここで一旦冷静に考えてみよう。

今回SSGTシャツはRISOさんのお慈悲で特別割引をしていただいているため省くが、ほぼ順当に作った暗中模索Tシャツは50枚刷って35,150円。なんと1枚あたり703円でできたことになる!これは安い!はずだ。

すべてのTシャツプリント業社を調べたわけではないが、だいたい50着程度なら片面1色とはいえ安くても1着1000円以上はかかってくる。そこに送料も乗っかるかもしれない。

それならやっぱりどう考えても700円は安い!やったー!原価はたったの700円!わーい(⌒▽⌒)

 

(・・・・・・はっ!)

 

何か今、殺気のような、すごく冷たい視線を背中に感じる。なんだ、この違和感は?

・・・もしや、なるほど。そうか。

 

これは、Tシャツを買ってくれたお客様の思念だ!

(あなたは700円のものに1300円も上乗せして売っていたのね。とんだ銭ゲバ。金の亡者。ゲバもじゃ。ゲじゃ。ゲジャ野郎。ゲジャロウ・・・)

 

なんてこった!

よく考えたら普通原価をさらすなんてどうかしてる!しかも「安い安い」とはしゃぐ姿なんて見せちゃいけない!

 

いや、でも待ってください!たぶん妥当な額ですって!

まず、買ってくださった方だからこそわかってもらえるはずだが、生地からしてしっかりした上等のTシャツである。仕入れ値が600円と激安だが、それは決して安物だからではなく、RISOさんと233の中根さんにご尽力いただき特価にて調達することができたからである。きっと、こんな豊かな国であるにもかかわらず大の大人がガリガリなものだから、不憫に思って価格を抑えてくださったのだろう。痩せてみるものだ。

 

それにそもそも、グッズTシャツで2000円は相場だと安い方である。加えてシルクスクリーンのプリントは耐久性も高くて発色もいい、むしろ高級志向な人が求める代物だ。

なにより今回、描いたり、刷ったり、畳んだり、運んだり、本来業者に任せる部分を僕自身が担ったわけだから、その分を多く頂戴したって文句は言わせないよ!人と物と時間が動いたんだから!ね?ほら!危ないから、一回釘バット置こ?

 

現在の日本では、クリエイターや技術者への労働力搾取が問題視されている。たぶんこれもそれ系のあれだ。だからどうか気持ちをおさめてほしい。そして願わくば、次も2000円で買ってほしい。

 

なにはともあれ。

結果、今回の単独で売れたTシャツの枚数は「SSG」が10着、「暗中模索」が24着。なんと計34着も買っていただけた!

2000円×34着=68000円の売り上げだ!

そこから費用の49109円を差し引くと・・・

 

18,891円の利益!(感涙)

 

費用対効果を考えて、この額が多いか少ないかはまだ判断しかねるが、とにかく黒字になって本当によかった。SSGの活動一発目として、ひとまず成功と言えるのではないだろうか。今後のモチベーションアップにもなった!

もちろん、余ったTシャツもこれからどんどん売っていくことができれば利益はさらに増える。というわけで、誰か買ってください!

SSGメモ11:お客様に原価を知られると気まずい