売って売って売って2
単独初日
初日公演の直前、グッズ先行販売会にて早速Tシャツが7枚売れたことで、ライブ終了後の物販に淡い期待を抱きつつ、いったんグッズのことは頭から振り払わなければならない。これから70〜80分、1人で舞台に立ち続けて初おろしの新ネタを7本披露するにはそれなりの集中力を要するのだ。
さて、怒濤の甘噛みから幕を開けた単独ライブ。
エンジンがかかるまでに多少時間を費やしてしまったものの、お客様と見学の芸人さんとで計50名近い観客の後押しを受けて、なんとかやりきることができた。
今回、ネタとネタの間で流す幕間映像も自分で制作したのだが、そこでもしっかりと要所要所でシルクスクリーンや物販促進のための映像コントを流した。こちらがいかにグッズを買ってほしいかは十二分に伝えたはずだ。頼むぞ、お客・・・!
終演後、舞台上で物販開始である。
挨拶を終えて楽屋にはけた後、着替え、楽屋挨拶を済ませたあと、恐る恐る今一度舞台に顔を出すと・・・
なんとお客さんが物販に列を作っているではないか・・・!
嬉しさのあまり写真を撮り忘れてしまったが、ウソじゃないです!本当に並んでました!
ネタがウケて笑いをいただくのも最高の気分だが、物が売れてお金をいただくのもまた至高なり。
ありがたいことに芸人で買ってくれた人も結構いてくれた。
誰一人として懐に余裕のある顔ぶれではなかったが、皆なけなしの手持ちをはたいて購入してくれたのだ。また明日からもやしご飯で生きていくに違いない。感涙ものだ。
Tシャツもそこそこ出ている様子。これは結果が楽しみになってきた・・・!
単独2日目
一夜明け、昨日の反省を生かし、日中はひたすらネタの練習を繰り返す。
そしていざ再びの本番だ。
昨日と違い平日とあって若干客数は下回ってしまったが、それでも見学に来てくれた芸人と合わせれば、この日も約50名の観客が来て下さった。
2回目ということもありリラックスした状態でのぞむことができて、手前みそだがお客さんの反応も上々だ。これはいい!お客さんを高揚させればさせるほど、終演後に勢い余ってグッズに手を伸ばしてしまう可能性が上がるからだ。悪く言えば、いかに客の冷静な判断力を奪うことができるか、それが商売だ!違う気もする!
いい空気のまま無事に2日目の公演を終え、一度楽屋に戻り、そして再び舞台に顔を出すと・・・よし!また並んでくれている!いいぞ!
よくよく考えたら単純に会計受付が1つで1人ずつしか対応できないため、ただただ回転率が悪いだけのような気もしてきたが、とにかく「行列ができた」という既成事実には変わりないのだ!
Tシャツもコンスタントに売れている。なかには2着買っていってくださった方もいた!そして今日も芸人で買ってくれた人もいた。ありがたやありがたや・・・。
物販に並ぶお客さんの列や、Tシャツを手に取ってサイズを見ているお客様の姿を見ていると、脳裏に浮かんでくるのは、無言でひたすらシルクスクリーンに没頭した時間だ。大げさに言えば人間をやめて臨んでいたあの時間が、今こうして報われているのは非常に感慨深いものがある。そしてお金が手に入る。
すべてのお客様が帰られたあと、打ち上げに向けてスタッフとともに急ピッチで帰り支度をする・・・おや?来るときはあれだけ大量にあったグッズ。紙袋3つ分あったTシャツが、ギリギリ紙袋1つに収まっている!!
やったー!目に見えて減った!
いろんな嬉しい理由があれど、とにかく荷物が軽くなった!これがこの時なによりも嬉しかった。前々日のグッズ搬入のとき、「重さ」とは「恐怖」であると学んでいたからだ。
いやー気分がいい。
今夜は美味しい酒が飲める。打ち上げ代もいっぱい払っちゃうもんね。
そんなこんなで、シルクスクリーン芸人としての初のグッズ販売はパッと見すると大成功のうちに幕を閉じた。はずだ。
次回、具体的に売り上げを数えてみる、そして反省へ。の巻
SSGメモ10:ウケるのと売れるのは同じくらい嬉しい
売って売って売って
オリジナルTシャツ販売開始!
前回、Tシャツ刷り刷りマシーンと化し、見事シルクスクリーンでオリジナルTシャツを50着刷りきった。あとはいよいよ売りさばくだけである!
10月22日(火祝)と23日(水)。
この日はかれこれ半年近く前から準備を進めてきた僕の単独ライブがある。シルクスクリーングッズの販売活動を幕開けするにはうってつけの場だ。事前に告知もした。あとは見に来てくれるお客さんが、ブルジョワジーな方々であふれていることを祈るばかり・・・非情なまでの雨の中、期待と不安とTシャツを2つの紙袋パンパンに詰め込んで、勇み足で会場へと向かう!
・・・重い。
思いが重いのか。いや、まぎれもなく質量的に重い。
もちろん単独は僕一人でネタをいくつもやるライブなので、持ち物はTシャツだけではなく、衣装・小道具・カメラ・その他もろもろ大量の荷物がある。孤独なピン芸人はそれを一人で運ばなければならないのだ。言うまでもなく電車移動。あまりにも持ちきれないので、いったん前日にグッズだけ前乗りさせることにした。
にしたって、グッズもTシャツ以外に、シルクスクリーンとは別で台本やクリアファイルなんかを大量にこさえてしまった。
グッズ作りは正直楽しい。
シルクスクリーンを刷ってる時にしたって、クリアファイルのデザインを描いている時にしたって、作っている時はとにかくウキウキしてしまう。そのウキウキにかまけて、ついつい売上個数予想が強気になってしまうのである。そしていざ、手元に物が現れた時、物質には体積と質量があることを痛感するのだ。
途中何度も歩みを止めて腕をいたわりながら、普段はあっという間の新宿までの道のりをノロノロと進む。ふと、帰り道もまったく同じ量を運ぶことになるかもしれないと思うと、ゾッと背筋が凍る感覚に苛まれた。
(売れてほしい・・・マジでグッズ売れてほしい!)
この、グッズを会場まで運んでいる時が一番強くそう思ったかもしれない。
もちろん、面目的にもお財布的にも、いろんな理由から売れてほしいのだが、この時まさに筋力的な理由で思った「売れてほしい」が最も念がこもっている。
販売促進大作戦
今回の単独で、少しでも売り上げをアップさせるため、初日の公演が始まる直前に1時間「グッズ先行販売会」を開いてみた。
入場料100円をいただく代わりに、グッズを100円引きで買えるというイベントで、いくつもグッズを買ってくださる方にとってはお得なシステムだ。Tシャツは一着2000円なので、ここで買えば1900円。
そして結果的に7名のお客様が足を運んでくださったのだが・・・なんとそこで売れたTシャツが7枚!
割合だけ見れば、お客様の100%がTシャツを購入してくださった計算だ。これはいい滑り出しだぞ!少なくとも需要がゼロでなかったことに安堵した・・・
さらにさらに、なんとそのうち3枚が「シルクスクリーン芸人」Tシャツであった!
正直、SSGTシャツの方はノベルティーグッズというか、スタッフTシャツとして想定しており、一応販売はしていたが、一般のお客さんで欲しい人はいないだろうと思っていたので意外だった。やはり素人なりに黄金比を意識したデザインが功を奏したに違いない!(関連記事)
そしていよいよ単独ライブ本番が始まる!
物販はライブ終了後に行う予定だ。さぁ、2日でどれだけ売れるのか!?
SSGメモ9:いっぱい作ると、重い。
刷って刷って刷って
いざ、シルクスクリーンのループへ
10月16日木曜日。
先日はRISOの山本さんご指導の下、初のTシャツ刷りにチャレンジして「シルクスクリーン芸人」Tシャツを全15枚こしらえたわけだが、この日はついに自分1人で全工程を行わなければならない!朝から新橋駅地下のエクセルシオールでバシッとカフェインをキメたあと、RISOさんのワークスペースへと乗り込んだ!
到着すると、すでに山本さんが事前に送っておいたデザインの製版も終わらせ、「あとは刷るだけ」の状態にセッティングしておいてくれたので、早速ご厚意に甘えることになるのだが、そこで最初に一回だけ刷り方のおさらいをしたあとは、いよいよ本当に孤独な戦いが始まる。
目標は50着!
夜にはライブが入っているので、昼過ぎごろまでには終えなければならない。あ、そうなんです。無名中の無名ですが、僕は一応お笑い芸人として日々ライブに出演しております。小林ぼっちです、よろしくどうぞ。
今回発注して用意してもらったTシャツはすべて黒。サイズはWSが5枚・WMが15枚・Sが5枚・Mが15枚・Lが10枚だ。(後々、サイズ発注の配分の難しさを痛感するのだが、それはまた別の話・・・)
それではシルクスクリーン開始!
台にTシャツをセットし、版を下ろしてその上からスキージでインクを刷り込む。(詳細な手順は前々回の記事をチェック!)
長年の報われない芸人生活で培った「心を殺す」という能力を発揮し、我ながら圧倒的な集中力を見せた。 面白いことこそ何一つ言わなかったが、2時間もかからずにあっという間に刷り上げてしまった。このような地道な作業はどうやら性に合っている。芸人としては非常に複雑だ・・・。
次はそれをヒーターに通し、熱で乾かしてインクを布地に定着させる。
ベルトコンベアに運ばれて、1着1着完成していく様子は、刷った者として感動のひと時だ。
最後はこれを1枚1枚畳み、袋詰めしていく。これは帰ってからでもできる作業だが、6畳1Kという売れない芸人のリアルな住宅事情では50着のTシャツを広げられるスペースはない。ワークスペースの一角をお借りし、これまた黙々と機械的な動作を延々と繰り返すのだ。
そしてついに完成だ!
要所要所で山本さんに気にかけていただきつつ、ほぼすべての工程を1人で成し遂げた。まごうことなき「オリジナルTシャツ」を生み出すことに成功したのだ!
なんという高揚感・・・これを得たいがために人はシルクスクリーンを刷るのだな〜。
しかし、この先にはもっとアガる瞬間が待っている。
そう、この可愛い可愛いTシャツたちが買ってもらえた時だ!
この日の来週に控えた単独ライブでついに販売を開始するこの「暗中模索Tシャツ」。果たして何枚売れるのか!?待ってろよ!
SSGメモ8:刷る時は自分を"熟練の職人"だと思い込むとで作業に酔いしれることができる
白Tか黒Tか
新たにTシャツを作ろう
どうも!前回、シルクスクリーン体験を終えて名実ともにシルクスクリーン芸人となった小林ぼっちです。
そこでSSGのロゴをしたためたオリジナルTシャツが完成し、なかなかクールな出来栄えではあるのだが、実際のところは商品というよりノベルティグッズに近い感覚だ。
なんたって胸元にでかでかと「シルクスクリーン芸人」と書いてあるのだ。これを着て表を歩こうものなら「えーじゃあなんかシルクスクリーンで面白いことやってよ〜はい3・2・1!」などとギャルに無茶ぶりされる危険性だってはらんでいる。
「そっだなこたーねえ!こんのTサツは最高にナウいんべ!」というハイカラさんには販売もしていますのでぜひご連絡いただきたい。恐れ多くも2000円でご提供させていただいております。1枚1枚丹精込めて刷りました。
さて、これはこれとして、取り急ぎもう1着何かTシャツを作りたいところである。
そこで浮上する問題の一つがTシャツの布地カラーだ。いろんな色が選べる中、まだまだ初心者な自分は無難に白か黒で考えているものの、実際皆さんは白Tと黒Tのどちらが着やすい、買いやすいものであろうか?
個人的には白のプリントTシャツの方が好みだ。そっちの方が何か上に羽織る際に合わせやすい気がする。他の芸人さんの単独ライブでグッズを買う時も、白と黒があれば必ず白を選んできた。
しかし、待ってほしい。僕はことさらファッショナブルとは無縁の人生を歩んできた。小学3年生の時に家庭科の授業で作ったナップサックを中学に入っても使っていたら女子にドン引かれたことは今でもトラウマだ。オシャレに関して「ダサい」という感覚を理解し始めたのは本当に芸人になってからようやく、といった具合だ。
そんな自分が「白」と言ってるのだから「黒」なのかもしれない。そういった意味では自分のファッションセンスに信頼があるとも言える。
そして実際、今年の夏に世田谷233さん主催の「Tシャツ マニアックス」というイベントに参加させてもらった時に作った、3匹のモグラが描かれた「暗中模索Tシャツ」も、「これの黒ならなお良かった」「黒なら欲しい」といった声がちらほら聞かれたのだ。
だったらそれを作ればいいじゃない!
絵はもうあるわけだし、こんなに手っ取り早いことはあるまいて。
オリジナルTシャツのNEWデザインが完成
というわけで、黒地に刷ることを意識して多少デザインを変えつつ、暗中模索TシャツのブラックVerイラストが完成!
近々、再びRISOさんのワークスペースにお邪魔し、手刷りでせっせとこしらえたいと思っている。乞うご期待!!
SSGメモ7:自分のセンスに疑念があるなら顧客の需要に耳を傾けるべし
間に合えば10/22.23に開催する、僕の単独ライブでも販売する予定だ。ネタもグッズも最高にイカした単独コントライブ、興味ある方はぜひぜひお越しください!と、最後は告知でお茶濁し・・・。
シルクスクリーン芸人爆誕 その2
いよいよTシャツ
どうも。前回シルクスクリーンを初体験し、基礎を学び、見事シャレオツ名刺を刷ってのけた(自称)日本初のシルクスクリーン芸人、小林ぼっちです。
さて、この日は初回にして名刺だけにとどまらず、実はオリジナルTシャツもちゃっかり作っていた!
シルクスクリーンといえばTシャツ!まさに定番中の定番アイテム!なんなら、本当はまだTシャツを刷ってない時点で「シルクスクリーン芸人」を名乗るべきではなかったのかもしれない!それくらいテンションの上がる相性の良さである。
そして気になるそのデザインは・・・このブログのアイコンにもなっているSSGロゴだ!
「SSG シルクスクリーン芸人」の文字をでかでかと胸元にあしらってしまおうという大胆っぷり。今後シルクスクリーン芸人として精力的に活動していかんとする決意表明も込めた、いわばユニフォームである!
今回はよりスタイリッシュに見せるため、黒地に白インクで刷ることにした。
頼れるGOCCOPROパイセン
前回の名刺作成は、現在RISOさんが絶賛売り出し中のMiScreen a4で出力した版を使用したが、今回はその先輩で上位機種にあたるGOCCOPRO 100を使わせていただいた。
MiScreenの手軽さに比べるとかなりメカメカしいGOCCOPROシリーズだが、A4サイズ以上の版にも対応しており、色の濃淡も表現することができて、いっそう本格的なシルクスクリーン体験が可能だ。
道具は多少異なるが、作業工程自体はMiScreenの時と変わらない。
しっかりと張った状態の版を、プリントしたいTシャツの上に当てて、その上からインクを塗りつける。
専用の台にプリントしたいTシャツと版をセットし、見本の紙と照らし合わせながら印刷位置を調整。そしたらいよいよインクを刷り込むぞ!!
シャキッ!と刷れた!
黒い布地に白いロゴが清々しいまでにくっきりと表れて美しい・・・
一発目でこれだけキレイに刷れるのだから、正直誰でも簡単にできるといっても過言ではない!紙に刷っている時は、力加減などこちらの裁量で仕上がりが左右されるイメージがあったが、布製品はそこまで繊細さを求められない印象だ。
やはりシルクスクリーンといえばTシャツである!
そんなこんな、楽しさにかまけてあっという間に15着刷ってしまった。
現状「シルクスクリーン芸人」を名乗る者は世界に僕しかいないのだが、1人で15着を着回すとなるとさすがに虚しい・・・というわけで、ひとまず数枚は今月の僕の単独ライブを手伝ってもらう方々にスタッフTとして着てもらおう!
さらに残った10枚前後はせっかくなので他の単独物販に交えて販売しようと考えている。あまりにもニッチすぎる商品だが、レアといえば激レア商品だ!もしも欲しいというマニアックな方がいらっしゃれば、ぜひお声かけいただきたい。
・・・などと目論んでいたところ、早速マニアックなお客様が現れた!
ギャラリー世田谷233を運営していて、この企画のプロデューサーである中根さんだ!
いろいろとお世話になって、むしろ何か返すべきところをしっかりとお金を出してご購入いただきました。くぅ〜・・・ありがたや。
これは早いとこシルクスクリーンで一山当てて恩返しせねばなるまい。
ワークスペースで本格シルスク体験
ちなみに、こちらの新橋駅前第1ビル4階にあるRISOさんのワークスペースは一般の方も利用することができる。MiScreenやGOCCOPROはもちろん、道具や設備が充実した空間でがっつりシルクスクリーンを体験してみたい人はぜひ利用してみてはいかがだろう。
完全予約制で初回は講習料込¥5000/2h。次回以降は¥500/1hで利用できるそうだ。(Tシャツ、インク代等は別途)
ただ今回、僕はシルクスクリーン芸人の特権を発動し、初回の利用料はRISO様にサービスしていただきました!終始山本さんに手取り足取り教えていただきながらの作業だったので、その点からしてもかなり贅沢させてもらったわけだ。これもまたシルクスクリーンの周知に貢献することで返さねば・・・!
SSG小林ぼっち爆誕!
というわけで無事にシルクスクリーンデビューを果たした私、小林ぼっち。
今回は名刺とロゴTという初回にもってこいな自己紹介的グッズ制作を手掛け、最高のスタートを切ることができた。ここから勢いに乗り、いろいろな企画やグッズを繰り出していくので注目していただきたい!
SSGメモ6:MiScreen a4はお手軽派、GOCCOPROは本格派
シルクスクリーン芸人爆誕!
もう後ろめたくない!
新橋の駅前第1ビル。令和の世に昭和レトロな趣がそのまま残り、食事時にはサラリーマンのお父さん達で賑わうこの建物。その4階にあるRISOさんの工房にお邪魔して、昨日ついにシルクスクリーンを体験してきた!
これでようやく胸を張ってシルクスクリーン芸人を名乗ることができる!
これがシルクスクリーンだ!
シルクスクリーンの仕組みも簡単にだが理解できたので解説しよう。まずシルクスクリーンに使う版は、不透過質素材と細かい網あみ素材の2層でできており、それをPCから出力したデザインの通りに機械が不透過質の部分だけ取り除く。
そしてこの版を、Tシャツなど印刷したい物に当てがい、上からインクを塗り込むことで、透けた部分だけがキレイに写るというわけだ。
ちなみに、昔はこの版が絹製だったため「シルクスクリーン」と呼ばれるが、実際今では名前以外どこにもシルクは出てこない!そうなのか!
そしてそして、自分で作成したデザインを簡単かつ繊細に版へと出力できるその機械こそが、RISOさんが9月に発売したばかりの「MiScreen a4」様であり、僕が今回の企画を通して大いに利用させていただき、世間にその魅力を知らしめるべき相棒である。
使い方はいたってシンプル。背面にある電源スイッチを入れたら、PCからUSB接続でデザイン画像を読み込み、矢印の方向から隙間に新しい版を挿し込む。そして上部のふた部分を押さえ込むと機械が作動し、反対側からデザイン通りに加工された版が出てくるのだ。
個人的にこの「押さえる」という操作方法がアナログ感があって好きだった。正直スイッチ一つでできそうなものでもあるが、この腕にかかる適度な重さと、終わるまで絶対に離していけないという緊張感が、「今自分で作ってる」感覚を引き立たせて完成品に愛着を湧かせるのだ。
記念すべきオリジナルグッズ第1号
シルクスクリーンの仕組みや製法がわかってきたところで、ついにそれを使う時が来た。RISOの山本さんのご指導のもと、前回までに準備を進めてきた名刺の作成に取り掛かる!
まずは薄くてペラペラの版をしっかりと枠に貼り付けることから始まる。何気にこの作業が1番苦手だったかもしれない・・・。しかし、これがたるんでいたりするとキレイに印刷されないため重要なポイントだ。
付き添ってもらっていた中根さんから「ま、まさか..不器◯..」と指摘されたので、「図工はずっと5でしたけどね」と四半世紀近く前の功績を持ち出して華麗にかわしてみせた。
その次は上記した通り、MiScreenを用いて基となる版が完成
それではいよいよインクを塗る作業である。
台の上に先日自分で選んで買った紙を固定し、その上に版を押し当てて、さらにその上にインクを盛ったら、あとは「スキージ」と呼ばれるヘラのようなものでインクを塗り伸ばすように引くだけだ。まさにこの名刺のデザインイメージのような動作だ。
一回山本さんのお手本を見たあと、いざ、意を決して挑戦だ!
スキージを引くと「スゥーーーン」という心地よい音が鳴る。版の表面がザラザラしているため、網戸を爪で引っ掻いた時のような音だ。
恐る恐る版をどけると・・・できてる!
しっかりとインクが紙に乗り、僕がデザインした通りの図柄がプリントされている。これはちょっと感動だ!
そして前回直感で選んだクラフト紙がいい味を出している。我ながらこのセンスは間違いなかった。茶色のインクとの相性は抜群だ。
美しく仕上げるコツ
とはいえ、なかなか完璧な仕上がりかというと、正直ちょっとムラが目立つ。
スキージを引くときに立たせすぎたり速すぎると写りが薄くなり、逆だと濃くなってしまう。作業自体は単純な分、そのあたりの微妙な調整には感覚と慣れが必要だ。
また、布よりも紙の方が若干難易度は高いらしい。特に前回買ったもう一方の白い紙は、表面がツルツルと加工されており、クラフト紙よりもインクをキレイに定着させるのが難しった印象だ。水性のインクが染みやすい素材を用意することも大事な点の一つである。
さらに、そもそものデザインに関して、今回の絵のようにベタ塗り部分が広いと、それだけインクのムラが目立ちやすくなってしまうことも考慮しなければならない。
どうやらシルクスクリーンは簡単なようでかなり奥が深い・・・。これから1年かけて勉強していかなければ!
ひとまず名刺が完成
途中には没頭しすぎて、餃子を作ってる時のようにまったく喋らなくなるという芸人としてあるまじきハプニングもありつつ、何はともあれ、ついにシルクスクリーンを駆使してオリジナルグッズを制作するという、SSGとしての第一歩は踏み出せた。
できあがった名刺はせっかくなのでバンバン配っていけたらと思いっている。ちゃんとQRコードも読み込めたので、なんだかんだでやっぱりすごい再現度だ。
そして実はこの日、なんとさらにTシャツも制作していた!
その模様は次回に続く・・・
SSGメモ5:いくら夢中になったとはいえ芸人が黙るな
こだわり名刺は紙選びから
一から名刺を作る
ついにシルクスクリーン初体験を目前に控え、この企画のプロデューサーであられる世田谷233の中根さんから、そこで刷る名刺の紙を自分で選んで用意するように言われた。
自分でデザインして、紙を選んで、印刷までするのだから正真正銘の「手作り名刺」と言っても過言ではないだろう。もしかすると愛着が湧きすぎて配るのをためらうといった本末転倒な結果にもなるかもしれない。
とにもかくにも、雀の涙が干上がって残された塩の結晶ほどのバイト代を握りしめ、いざ紙屋さんへ出発だ!
・・・紙屋さんてどこよ?
はて、名刺用の紙なんていったいどこへ行けば売っているのかわからない。デジタル社会とはいえ、身の回りはまだまだ紙であふれかえっているというのに、僕だけかもしれないが、いざ紙を買おうと思う機会は意外とないものだった。かといってキャラメルの空き箱の裏を使うわけにもいかないので、とりあえずあらゆる欲望の叶う街、新宿に降り立った。
駅の降り口から1番近かった「巨大カメラ屋さん」にひとまず入ってみると、なんとすぐにあった・・・・・・いや、ありすぎだ!
そそり立つペーパーズマンション
プリンタ売り場にある印刷用紙のコーナーに足を踏み入れると、そこには多様でいて同じような紙が何百種類も所狭しと棚に陳列してあった。しかも、平積みでだ!売り場スペースのことを考えるとそうする他ないのだが、パッと見で商品のパッケージが見えないことでゲームの難易度を各段に押し上げている。
紙のソムリエでもいてくれればと願うところだが、あいにく電子機器売り場には巡回する店員が多数見受けられるも、カミの聖域にまでは踏み込んでこない。
仕方なし。ここは腹を括って棚の隅から隅まで探して回るしかない。
中根さんが言うには、A4用紙で10枚刷れるようにしてくれているとのことなので、とりあえずA4サイズを買うことは決まりだ。それでいてある程度厚みのある・・・
「名刺用」
いや、あるじゃん!
はっきり「名刺用」と書かれた紙が普通に売っている!すごい、しかもすでに切り取り線が引いてあり、印刷したらそのまま手で切り分けられる仕様だ。世の中本当に何事にも便利な物が用意されているものだ。めでたしめでたし・・・
なんて、言うとでも思ったか!
危ない危ない。よくよく考えると、すでに切り取り線が引かれているということは、裏を返せば絶対に印刷位置をズラすことが許されないということでないか。
プリンタならそりゃ寸分の狂いもなくプリントすることだろう。しかし、こちとら手刷りの初めてさんだ。しかもまだどうやって刷るのかもよく理解してない。
僕は自動車教習の初めての路上運転の時、教習所のゲートを出てそのまま右車線に入っていった男だ。人生だってふらついてる始末。そう簡単に自分を信用するわけにはいかない。
それに裁断まで自分でした方がより手作り感が増すに違いない。そもそも芸人たるもの、枠に囚われているようではいかんのである。
そんなこんな、この後小1時間ほど売り場を歩き回った結果、いい感じの紙を見つけることができた。「中厚口」「厚口」「特厚口」など、カレーでいう唐辛子マークのような表記がされた紙の中から「最厚口」と書かれた紙を選ぶ。これだけ厚ければ高級感も出るに違いない。
さらに、人生初シルクスクリーンに向けて心が浮ついている僕は、ちょっとオシャレに「クラフト紙」なんてものもカゴに入れてしまった。天ぷらは塩、写真はモノクロ、紙はクラフトにしておけば、とりあえずセンスがあると思わせられるのだ。
「最厚口」A4白紙25枚入り ¥377税込
A4クラフト紙20枚入り ¥418税込
高いのか安いのかもよくわからないが、今回の出費はしめて¥795。
次はいよいよシルクスクリーンに挑戦だ。持っていって「これは使えません」と言われる不安は見ないふりをして、わくわくしながら当日を待つ!